暮らす土地の旬のものを食べること
ヨガをしていると身体に入れるものにも敏感にもなる方も多いのでは・・・?
日本で生まれて日本で生活していた私は、中でもマクロビオティックの考え方を取り入れた食生活を意識していました。
—でもそれって、四季がある、自然豊かな日本だからこそ出来ることなのかも??
砂漠地帯のここドバイの夏の気温は50度。無風である上に100%に到達することのある程、湿度の高い夏は体感温度が60度まで上がる事もあります。
蚊や虫などはそんな気候の下ではほとんど生息する事は出来ず、当然ながら植物だって同様、夏の間はほとんど枯れてしまっているのです。
(ドバイで青々とした芝生を持った家があったらそれはセレブの証!自動で水を定期的に撒く装置を持っている家では植物は育っています。)

舗装された道を一歩外れればあるのは砂。
石油が発見された1960年代までは細々と漁業や真珠の輸出を産業としていたこの国。
石油が発見され、多くの人が住む近代的な都市になった現在でさえ、変わらず自国で農産物をつくることはほとんど出来ず、スーパーマーケットに並ぶ野菜のほとんどはアメリカやヨーロッパ、インドや中国から輸入されたもの達です。
つまり、一年を通してあまりスーパーのラインナップは変わらず(ちょっと寂しい)野菜や果物で季節の変化を感じられることは・・・・ほとんどありません(笑)
ドバイで食べられるハラルフード
そんな地産地消も旬も無いドバイのスーパーマーケットで色濃く見られるのは・・・・そう、ここでもイスラム教です。
イスラム教の人々が食べられるのはハラルフードと言う、イスラム教の経典(コーラン)に書かれた許可された食べ物であるもの。
具体的には
・犬、豚は不浄な食べ物なので禁止
・アルコールは禁止
・牛、鳥、羊など魚以外の肉はイスラムの教えに沿った適切な処理をされたものであること(具体的には最初に血抜きをして、お祈りをしながら処理するそう。)
例えば和食でよく使われることの多い、料理酒やみりんにはアルコールが含まれているのでドバイで手に入れるのはほぼ不可能。
また日本の調味料などに含まれているポークエキスなんかもNG。
当然ながら豚骨ラーメンやトンカツは言語道断。
日本食レストランで食べられるカツカレーはチキンカツですし、小籠包も鶏肉です。(笑)
そんな規則を元に作られるハラルフードはハーブやスパイス、ヨーグルトやレモン、オリーブオイルを多用してとってもヘルシー。
ひよこ豆をペースト上にしたフムスや、パセリたっぷりのサラダ、肉の串焼きや糖分と言えば甘—いデーツ(ナツメヤシ)。
日本ではまだまだ認知度は低いですが、欧米ではダイエット食として好まれているというのも納得のラインナップです。
イスラム教では一年に一回ラマダンという断食月がありますが、その期間断食明けに食べる、消化に優しいスープや野菜たっぷりの前菜にはたくさんの種類があります。
そう、これって、私たちヨギーにとってもすごく魅力的なフード!
お肉に対して行われる処理も、一番動物が苦しまない方法を取っているそうで、ヨガのアヒンサーの教えにも通じることもあるように感じます。
それでもやっぱり和食が食べたい!
・・・ちなみに、外国人の多いドバイでは限られたスーパーマーケットでのみ、外国人用に豚肉も売っています。
(“不浄なもの“である豚肉がイスラム教の方々の目に入らない用に、奥の方で仕切られた空間になっています)
しかし、当然ながら流通は少ない為、かなりの高値。
でも、それでもね。
長年日本で育った私にとって、一番食べたいのはやっぱり和食。
日本でたくさん買ってきた料理酒やみりんを使って作った煮物やお出汁は自宅でたっぷり堪能。
主人が日本出張に行く度に日本食を買ってきてもらったり、遠出をして日本食スーパーに買い物に行ったり。
こちらでは手に入らない茗荷や蓮根、里芋。舞茸やエノキにしめじが食べたくて、ときより味を思い出しては恋い焦がれています。
で、気づきました。
あれ、私、いつの間にかマクロビの考えから遠いところに来てしまった!と。
もしかして今の私は本来ドバイでは到底食べることのできないはずの日本食に執着しているのでは・・・!(実際している)
苦労して手に入れている日本の食べ物を食べ続けるのはそれなりの労力も伴うもの。
だからこそ、少しずつ現地のスパイスやハーブを使った料理を覚えていきたいなあなんて思う今日この頃。
それでもやっぱり、きっと体に染み付いた和食を欲するのはきっと素直な体の声。ここでもバランスを見つけていくのがヨガの実践なのかもしれません。
(つづく)

ドバイ在住ヨガインストラクター
家族の転勤に伴い、ドバイにて生活を始める。
人口の9割は外国人、今やNYよりもインターナショナルと言われるドバ
イでヨガを通して現地の様々な宗教、慣習に触れている。
日常生活に密着したクラス展開により、日本ではTrue nature軽井沢や朝
食フェス、Dressヨガ部などのイベント出演、オフィスヨガやコラム掲載
も多く担当。